複利の話で「ジャックとジルの投資話」というアメリカで有名なエピソードがありますので、少し紹介したいと思います。
ジャックとジルの投資話
弟のジャックと姉のジルの投資に関するお話です。
弟のジャックは18歳から8年間、毎年50万円ずつを投資をしました。
50万円を8年だから投資した総額は400万円になるね!
その後は一切追加投資をせずに放置していました。40年間は稼いだお金を自分のために使っていたことになります。
一方、姉のジルは18歳からしばらくは稼いだお金を学業につぎ込んでいたので、26歳から65歳までの40年間、毎年50万円を投資しました。
50万円を40年だから投資した総額は2,000万円だね!
(※ お互いに投資をしている銘柄は同じで年平均リターンを10%と仮定しています)
それでは65歳時点での2人の総資産はどちらの方が多かったでしょうか?
なんと正解は『ジャック』です。
実際にシュミレーションしてみましょう。
ジャックの資産は2億5878万円になってるよ!
ジルの資産は2億2129万円だね!
投資元本はジャックの方が1600万円も少ないのに、3749万円も差がついてしまいました。
このお話からわかることは8年先に投資を始めただけでもこんなに差が出るくらい、複利の力は凄いということです。
8年間の差がついてしまっただけで、その後から投資を続けても追いつけないというのは衝撃ですね。
複利は人類最大の発明
複利とは「当初の元本に利益がプラスされて、元本そのものが増えていく」ことです。
一方、単利とは「当初の元本の金額のまま運用して毎年利益が増えていく」ことです。
上の図からわかるとおり、単利は「運用元本に対してのみ毎年同じ金額の利子をつけるため、資産の増え方は直線」となるのに対し、複利の方は「毎年利息を元金に加え次の運用元金としているため、運用期間が長くなるにつれて資産が指数関数的に増えている」のがわかります。
資産運用期間が短いうちは単利も複利も資産の増え方があまり変わりありませんが、運用期間が長くなるにつれて、複利の方が「お金がさらにお金を生む」という状態になり、総合的に資産が雪だるま式に増えていきます。
かの有名なアルバート・アインシュタインは次のような名言を残しています。
「複利は人類最大の発明。知っている人は複利で稼ぎ知らない人は利息を払う」
この名言ですが決して大げさではありません。
早いうちに一定金額を貯めれば、貯めたお金が複利で自分の為に働いてお金を増やしてくれるのです。
元本と利子が積み上がっていくにつれ、お金の増え方はどんどん加速し、最終的には少ない元手で何倍もの資産を手にすることが可能になります。
複利の計算式
絶大なる複利の力ですが、魔法ではありません。
正式な複利の計算式はこちらになります。
(計算式)A=P(1+R/N)NT
A=残高
P=元本(初期投資額)
N=1年間に利子が支払われる回数
NT=貯蓄(貸付)期間
計算してみてね!
ジャックとジルが現代でオルカンに投資をしたら?
現代でジャックとジルがオルカン(全世界株式)に投資をした場合はどうなるでしょうか?
オルカン(全世界株式)の年平均リターンは8.6%です。
投資商品がオルカンだった場合は、42年目で2人の資産額は逆転しています。
最終金額はジャックが1億4,738万円、ジルが1億5,182万円となりました。
オルカンへの投資ならばジルがジャックに追いつけることができますね。
それでも42年目でないと追いつけないのは、やはり複利の力は絶大といえます。
複利と時間以外の重要な要因
ジャックとジルの投資話は「複利の力と時間が大切である」ということを教えてくれる教科書のようなお話ですが年利10%の想定となっています。
現実的には毎年平均して利回り10%を得られるのは難しいでしょう。
投資の世界で利回りが年4~5%で優秀とされる中で10%というのは驚異の数字だからです。
実際の投資の世界では暴騰や暴落を繰り返します。過去には10年単位で経済が成長しない時期も事実ありました。
ジャックとジルが資産を増やすことに成功した他の要因として次のことが考えられます。
<複利と時間以外の要因>
・暴落しても資産を売らなかった
・暴騰しても資産を売らなかった
・急な出費があっても資産を売らなかった
・将来的に経済が成長することを信じて48年、資産を株式市場に預け続けた
長く株式市場に資産を預け続ければ必ず暴落の時期を経験するでしょう。
暴落した時期を乗り越えて長く株式市場に資産を預け続けたからこそ、1億円を超える資産を作ることができたということも忘れてはいけません。
1億円を手に入れるのに1億円を貯める必要はない
お金を稼いで投資をし始める時期が早ければ早いほど、お金を育てる時間が長くとれます。
ある程度までお金を貯めたら、あとはそのお金に働いてもらってさらにお金を作り出していけばいいのです。
時間と複利の力を使えば「1億円を手に入れるのに1億円を貯める必要はない」ということです。
複利の力で億り人を目指しましょう。